慶長の昔、徳川家康公が集め増上寺に寄進した三つの大蔵経
明治維新、関東大震災、東京大空襲を超えて増上寺が現代に伝えたその経蔵
今、ここに仏教の智慧の蔵が開かれます
浄土宗総合研究所では、浄土宗大本山増上寺所蔵元版大蔵経デジタルアーカイブ化についての公開講座を開催いたします。仏教研究における漢文文献のデファクト・スタンダードである大正新脩大蔵経が、浄土宗大本山増上寺所蔵の高麗版大蔵経を底本とし、同寺所蔵の宋版大蔵経(思渓蔵)と元版大蔵経を対校本とすることは周知のことです。
来たる2024年、浄土宗は開宗850年を迎えます。その記念行事の一つとして、この増上寺所蔵高麗版大蔵経のデジタルアーカイブ化と増上寺三大蔵デジタルアーカイブのインターネット上での公開が企画されております。それに先立ち、弊研究所では、一昨年度は宋版大蔵経を、昨年度は元版大蔵経をデジタルアーカイブ化いたしました。
二回目となる今般の公開講座では、増上寺所蔵元版大蔵経およびそのデジタルアーカイブ化の持つ意義について、大正新脩大蔵経テキストデータベースを運営するSATから下田正弘先生と永﨑研宣先生、また、大蔵経をご専門とされる野沢佳美先生と上杉智英先生をお招きしてお話を伺います。併せて国際的な画像アーカイブの仕様であるIIIFに準拠した元版大蔵経デジタルアーカイブの運用を紹介します。
◇日時:令和3年3月8日(月)13:00~16:30
◇場所:オンライン会議システムZoomにて開催
※会場での実施はありません
◇発表者と講題
・上杉智英(京都国立博物館研究員)
「浄土宗大本山増上寺所蔵元版大蔵経、画像公開の意義」
浄土宗大本山増上寺所蔵の元版大蔵経は、元時代至元十四年(1277)より同二十七年(1290)にかけて、杭州の南山普寧寺僧、道安らにより刊行された、いわゆる「普寧蔵」と呼称される一大仏教叢書である。本発表では、増上寺蔵元版大蔵経の概要を紹介し、デジタルアーカイブ化による画像公開の意義を、①元版大蔵経研究上、②刊本大蔵経の系譜研究上、③大正蔵本の史料批判上、の三つの視座より論じたい。
・野沢佳美(立正大学文学部教授)
「印刷漢文大蔵経研究の歴史と課題-目録・報告書刊行を中心に-」
大正末から始まった「大正蔵」編纂に合わせ『昭和法宝総目録』 3 冊が刊行された。以後、今日に至るまで、各地の大蔵経調査が漸増する中で多くの「現存目録」や「調査報告書」が刊行された。それらは、大蔵経研究の重要な基礎情報となっている。本報告では、『増上寺三大蔵経目録』に代表される「現存目録」などの刊行が大蔵経研究に果たした役割や問題点とともに、電子化が進む中での意義・課題を考えたい。
・齊藤舜健(浄土宗総合研究所主任研究員)
「IIIFに準拠した増上寺蔵元版大蔵経デジタルアーカイブの運用」
増上寺三大蔵中の元版は、デジタル時代以前にマイクロフィルムに撮影収録された。今回、浄土宗総合研究所では、その画像をインターネット上で公開するための国際的な枠組みであるIIIFに則ってデジタルアーカイブ化した。既にデジタルアーカイブ化した宋版と合わせ、実際にWeb上でどのように閲覧等ができるのか紹介する。
・永﨑研宣(人文情報学研究所主席研究員)
「大蔵経研究におけるデジタル画像活用の新展開」
大蔵経のデジタル画像は版式や字形の違いをはじめとして、それまでは困難だった様態の比較を容易にしたという点で大蔵経研究に大きな進展をもたらしつつある。SAT DBに実装されつつある、IIIFの特性を活かした「重ねて透過することによる比較」機能は、各大蔵経の比較をより容易にするだろう。本発表では特にその機能を中心としてSAT DBの近況と近い将来について紹介したい。
・下田正弘(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
総括
◇参加
どなたでも参加できます(無料)。ただし、インターネット接続の環境が必要です。
◇申込方法:申し込みフォーム(←こちらをクリック)からお申し込み下さい。
3/1以降にお申し込みの方には、自動返信にてzoomウェビナーのご案内および資料を送付いたします。
直前のお申込でもけっこうですのでぜひご参加ください。
◇問い合わせ先:
浄土宗総合研究所(浄土宗関連情報デジタルアーカイブ研究プロジェクト)
〒105-0011 東京都港区芝公園4-7-4 明照会館内4F
TEL:03-5472-6571(代) FAX:03-3438-4033
Eメール : daizokyo2020@jsri.jp